2013年1月。
俺は彼女に好かれる為に準備を開始した。

まず、結婚してから全く服に興味がなくなっていたので、新しい服を買いに行った。
買いに行った場所は、かの有名なイトーヨーカドーである。笑
その中に出店している、高くも安くもないちょっと小洒落た店で服を買った。
カジュアルな感じで、これは勝負服になるなと思えるイイ買い物が出来た。


次にパズドラを始めた。


え?この人バカなの?wwww
と思った方も居ると思うが、そこは敢えて否定しないでおきます。笑
バカな俺の狙いは、話題作りだった。
ランクが20になるとフレンドにプレゼントが贈れることを予習したので、すぐにランクを20まで進めた。準備完了。


そして男としてのプライドを取り戻す為、彼女に戦いを挑んだ。


彼女に電話を掛けた。

来週の○曜日の23時に店行くから予約よろしく。終わったらご飯でも食べ行こう♪

彼女の最終枠に予約を入れたのは、仕事終わりのアフター狙いだ。予定があれば断るだろう。予定がなくてもきっとはぐらかす。その場合は、店で盛り上がればオッケーするだろうという魂胆だった。

案の定、ご飯は気が向いたらねぇ~という返事だった。

あとね。パズドラ始めた。プレゼント贈りたいからID教えて。と伝えると、彼女は喜んでIDを教えてくれた。

翌週、同僚と一緒に店に行った。

同僚には事前にアフターがあるかもしれないことを伝え、彼女がオッケーした場合は俺の車に乗って先に帰ってもらうようにお願いしておいた。アフターが無ければそのまま同僚の家に泊まる。

勝負服を着て彼女と対面した。
彼女の反応は、あれ?何か今日ちょっと違くない?程度だったが、悪い反応ではないなと思った。

彼女は口癖で『なんで?』を使う。
俺は全く関係ない話の時に、『お前のことが好きだからだよ。』と答えた。
彼女は照れていたし、効果はあった。
とにかく『好き』を連発してやった。

それからパズドラの話題で会話は盛り上がった。これ以上先に進めないの~!と言って俺にパズドラのデータを見せてきた。彼女は自分が可愛いと思ったモンスターだけでチーム編成をしていたので、先に進める訳がなかった。笑
こうやんねんで。と言ってチーム編成をしてあげると、じゃあそのままやってみてよと言われた。彼女は俺のパズル力に驚いて食いつきも上がってきた。笑

行き詰っていた所をクリアして、スマホを返した。
すると、彼女が何故か溜め息を漏らした。
どうしたの?と聞くと、嫌なことがあったらしい。それが何なのかは教えてくれなかった。
そして彼女は俺のことをじっと見つめて、突然とんでもないことを言いだした。


『ねぇ。海行きたい。』


ん?何?ちょっとよくワカラナイ。この子何言い出しちゃったの⁉︎と思った。笑
海は想定外だったので、同僚と一緒に来てるから無理!と言うと、同僚が何て名前の女の子に入ったのか教えてと言ってきた。

確か○○ちゃんだよ。と伝えると、すごい驚いていた。その子は彼女の1番の友達だった。偶然とは恐ろしいものだ。
じゃあ4人で海に行こうと言い出して、○○ちゃんにLINEを打ち始めた。
しかし返事は来ない。

当たり前だ。


だって今俺の同僚とプレイしてるんだからwww

時間が来て、キッチンタイマーが鳴った。
連絡するから外で待ってて~と言われ、店から少し離れたところに車を停めた。
同僚に、今日どうなったの?と聞かれたので俺はこう答えたんだ。

『くぼっち、俺たちはこれから海に行くことになるかもしれない。』

え?何?ちょっとよくワカラナイ。と言われたwww
うん。その気持ちすごいよく分かるよ。俺もさっき同じ気持ちだったから。さっきくぼっちが色んな意味で入った女の子が、行くって言ったら行くことになる。一緒に海に行ってくれるかなぁ~⁉︎
そう聞いてみると、


普通に嫌がられた(ノ_<)笑


海に行って何があるの?と聞かれたので、俺はそれを知りたいから行くんだよ。と答えた。すると、

いや俺は帰るから。と言われた(ノ_<)笑

同僚とそんな攻防をしていると、彼女から連絡が来た。

『友達も行くって言ってるよ~!どこに居るの~?』

はい。もう行くしかなくなった。
同僚に一生のお願いと取り引きを持ち掛けて付き合ってもらうことにした。

女の子2人を乗せて、まずデニーズへ向かった。同僚がさっき入った○○ちゃんの顔を見てみたが、結構微妙だった。笑
軽い自己紹介を交わしてご飯を食べて、深夜の江ノ島を目指した。そして着いた。とうとう江ノ島着いたぞー!と、無理やりテンションを上げて雨の中、車外へ飛び出した。するとそこは、

ただの真っ暗な海だった。笑

なんも言えねぇ。なんも見えねぇ。笑
どうしようもないので、すぐさま近くのラウンドワンへと移動した。そこでUFOキャッチャーとダーツをやって楽しんだ。意外と盛り上がって俺も楽しんでいた。笑
ラウンドワンを出て、彼女の友達の家が近かったので送り届けた。
彼女に、俺は同僚の家に行くけど来る?と聞くと、行く~!と答えた。その返事に1番驚いていたのは俺の同僚だった。笑
あの時は本当にごめんなさいw


外は大雨になってきていた。


同僚の家に到着し、皆眠さの限界だった。
同僚はベッドで就寝。
俺は同僚に買って貰った俺専用布団で彼女と一緒に寝ることになった。
腕枕をして、顔を見合わせた状態で頭を撫でていると、彼女が言った。



『今日はありがとう。』



感謝の言葉を初めてもらった気がした。
ワガママでメチャクチャな女だけど、その言葉を言えるなら俺は許せるなと思った。可愛いなと思った。
さすがにこの場でヤることは出来ないので、キスだけして眠りについた。

昼頃に目を覚ますと、外は大きな変化を迎えていた。その日の天気は、

とてつもない大雪だった。笑

彼女は今日も出勤で、錦糸町にある男の家に荷物があるからそれを取りに行きたいと言ってきた。しょうがないから送って行くことにして、同僚の家を出た。

駐車場に着くと、俺の車は完全に雪をかぶった悲惨な状態だった。笑
なんとか雪掻きをして車を走らせた。
勿論ノーマルタイヤなので、スリップの連続。彼女は楽しんでいたが、俺はプルプル震えていた。笑
道はどこもかしこも大渋滞。錦糸町までいつもなら10分で着く距離なのに、この日は30分走っても半分の距離しか進まない。車の屋根の雪が落ちてきてフロントガラスの視界を遮る。俺は何度も車を降りて手で雪を振り落としていた。手が冷たくなり過ぎて痛い。ズボンで手を拭いていると、助手席に座っている彼女が右手を差し出してきた。

俺はセクをする時以外で初めて、


彼女と手を繋いだ。


全く進まない車の中で、たわいない話をしながらずっと手を握っていた。明らかに距離が縮まっていることと、彼女からの好意を少し感じることが出来た。

途中にジョナサンがあったので、ご飯を食べることにした。食べている時以外、ずっと2人でバズドラの話とパズドラをしていた。笑
ご飯を食べ終えて、食欲と睡眠欲の二つが満たされた。残りは一つだ。よし。

『服も濡れたし寒いし、お風呂入りに行こう♪』

どこで?笑 と聞かれたので、錦糸町にいっぱいあんだろ~♪ と言ってラブホへと向かった。

同僚の家で生殺しだったので、2人でお風呂に入ってすぐに開戦した。そして変化に気付いた。

甘えてくる。彼女からキスをして来る。抱きしめて来る。これは、

彼女から好意を感じる。


相手の気持ちを感じると、不思議とセクも気持ち良さを増して来る。ジュニアも全然ガマンが出来ない。あまりに早い一回戦目が終了した。笑

また腕枕の態勢に戻り、彼女に茶化すように聞いてみた。

『今日はお金払おうか?笑』

『いらないよ♡』

そう答えた。


その答えが嬉しかった。同時に彼女のことを本当に好きになっていく自分に気が付いた。最初の目的は早くも達成されたようなものだった。問題はこれからどうするのか。

彼女は俺が既婚なことを知っている。
俺は彼女が色んな男と遊んでいることを知っている。しかもソープ嬢だ。
付き合うっていう選択は無かった。
俺と彼女は2人とも寂しがり屋だから。一緒に居ればそれが埋まる。タイミングが合う時に会えればそれでいいのかなと思った。


その日彼女は仕事を休んだ。
夜の21時頃までセク→パズドラ→セク→パズドラを繰り返していた。笑


ホテルを出た。
雪はもう止んでいた。
彼女は錦糸町の男の家に帰る。
俺は嫁と子供が待つ自分の家に帰る。


また連絡するね~♡と言われて、帰路へと車を走らせた。


今思えば、もうあの時から俺の心は嫁と子供の元へ帰ることが出来なくなっていたんだ。


彼女と過ごす以上の楽しみなんて、どこにも無かったのだから。



男として生きる喜びは、父親として生きる喜びよりも勝っていた。



だがしかし。



俺は彼女に心を壊されることになった。
先輩に異常だと言われるまでの精神状態になってしまう、破滅へ突き進む次回へと続く。( ິ•ᆺ⃘• )ິ