彼女と付き合い始めた当初。
俺はどこかで付き合いの終わりを前提に考えていた。
俺に新たな生きがいを与えてくれたナンパを辞めるつもりはない。
バツがついている俺をそう簡単に受け入れてくれる訳がない。

どれだけ一緒に居られるかは分からないけれど、ろくでもない男達に振り回され続けてきた彼女を、一時でも幸せにしてあげたい。

彼女が風俗の仕事を辞める頃には、俺みたいなクズではなく、誰かまともな男を見つけてくれればいい。






そんな風に思っていた。










【続き】
ある日の風間邸にて。





『…ねぇ。ブログやってるでしょ?』




『え?俺が?ナイナイナイ!笑』
『そんなブログとかやる暇ないし!!笑』




物凄い勢いで血の気が引いた。彼女に俺がナンパ師であることが完全にバレた。





『風間さんて言うんだ?ここが風間邸?ここに何人も女の子連れ込んでたんだね。』


『いや風間なんて知らねぇ。ここは(本名)宅だろう?表に表札出てるだろう?笑』


『あたし全部読んだから。』


『………(これはもう誤魔化せないヤツや。)』


『笑っちゃうよね。あたしはホストに落ちるような女じゃねぇから!』


『そうか。読んだのか。なんで俺のブログだって分かった?』


『バツ◯チ ナンパ で検索した。』
『1番上に出てくるの知ってる?ブログに、Facebookと同じ(yuuの本名)さんの写真があってそれで。ガッカリしたよ。あたしの写真も勝手に使ってるし。それから、あたしは誰かに可哀想って言われるのが1番嫌いなの!』





俺のブログで、どれだけ彼女のことを傷付けてしまったのだろう。
この当時は、皇さんと納涼船に出撃した記事がとんでもないアクセス数を日々更新していた。
そしてブログは本心で書いている。
もう彼女に何も隠すことが出来なくなった。





『やっとまともな人と付き合えたと思ってたのに…。あたしは何ですか?ヤリ目ですか?』


『俺がそんな風に接してると思う?本当に好きだから一緒に居るんだよ。』


『じゃあどうするの?ナンパ辞めるんですか?』


『(結構沈黙。そして、)……ブログを読んだのなら分かるだろ。俺はナンパを辞めるつもりはないよ。』



そう彼女に告げて、俺は自分の財布を置いている場所へ移動し、一万円札を数枚手に取って彼女に差し出した。



『夏子ごめんね。俺は夏子のこと騙したかった訳じゃないから。』
『だからプレゼントしてくれた分のお金は返すから。これ受け取って。』




彼女はイラナイと言って首を横に振った。そして2人の間に長い沈黙が流れた。






『ちょっとタバコでも吸うか。』






彼女とベランダへ行き、色んな話をした。ナンパの専門用語、俺がどうしてナンパを始めたのか、俺と夏子が今までどういう人と付き合ってきたのか等。

俺も夏子も相手に依存しやすいタイプだから。彼女がどうしてダメな男に尽くしてしまうのかが、俺にはなんとなく分かった。そして俺は彼女に伝えた。


『夏子、もう自分がマイナスになるような人と一緒に居るのはやめときな。』

『ダメな人を好きになっちゃう気持ちは俺もよく分かるよ。それでも、金で繋がるような関係は断たなきゃダメなんだよ。』


『夏子にはいつか本当に良い人間と付き合って欲しい。だからもう、俺も夏子と付き合っていくことは出来ない。』




それを聞いた彼女は、小さく『うん。』と言って頷いた。
自分がナンパ師であることが彼女にバレてしまうなんて本当に情けない。俺は三流なんだなと改めて思った。


彼女からも、『身バレに対するセキュリティが甘い。』『Kの性格はナンパ師には向いてない。』等、散々な言われようだったが、全てを知った上での彼女の答えは、






『ナンパを続けてもいいから、別れたくない。』







それは切ない目をしながら言われた、俺が彼女からの愛情を最も感じる言葉だった。

でも流石にそれは無理だろう。ブログやTwitterが更新されれば、その度に彼女は嫌な思いをする。そんな関係が成り立つ訳がない。
それでも彼女は、あたしも風俗の仕事をしているんだからお互い様でしょ!と言ってくれた。その言葉に甘えた俺は、彼女と継続して付き合っていくことになった。




【その日の夜】


K『もしもし、yuu?ちょっと今大変なんだけど聞いてくれる?』

Y『どうしたんすか?』

K『夏子に風間バレしたwww』

Y『マジウケんすけどwww』

K『ちょっと今かわるねw』



夏子『もしもし。初めまして〜』




『準即された夏子ですw』



Y『ワロリッシュwwwww








yuuのことも紹介し、全てをオープンさせた付き合いとなった。

限られた人にしか言えない俺のナンパの話を、彼女が1番の理解者となって聞いてくれた。
それからの俺は、夏子にどんどん甘えていくばかりだった。


本当は聞きたくない話を笑って聞いてくれる彼女。
誰かをGETしたことを中途半端にブログやTwitterで知られるくらいならば、真実を直接彼女に話してしまった方が良いのではないかと俺は思っていた。


しかし、それは大きな間違いだった。


何も言わずに黙っていれば良かったのかもしれない。俺は本当にバカな男だから。




本当にごめんね。





彼女との別れは、刻一刻と近づいていた。






2014年③へ続く。