9月を迎えた俺は好調だった。
出撃する度にコンビでのGET数が増え、KYコンビの勢いは増すばかり。


そんな結果とは裏腹に、夏子との付き合いには少しずつ距離が生じていった。

夏子は年内には辞めると言っていた風俗の仕事を9月に辞めた。今後の生活や残ったローンを計算し、もう自分の体を売らずに生きていく強い決意をしたのだった。
俺は本当に嬉しかった。しかしその反面、これで彼女とのバランスが崩れることが予想出来た。



俺たちの付き合いは、ナンパ師と普通の女の子という形へ大きく変化した。



これからも彼女と付き合っていくならば、俺も普通の男に戻るしかない。
しかし、その決意までには至らなかった。
夏子が前の男との関係がまだ続いていることに俺は気付いていた。それでも俺は気づかないフリをした。
ナンパして、その日に会った子に手を出している俺が言えたようなことじゃない。
お互いに、どうにもならない蟠り(わだかまり)が生まれてしまった。



そして夏子との別れを迎えた。




自分勝手な俺は、他の男と会っていることがもう許せなくなった。そして俺との約束を軽く考え始めたこと。
でもそれは、全て俺が悪いと分かっている。俺が夏子と、ただ普通の男として付き合っていたのなら答えは違ったのかもしれない。
いつからか家事を全てこなしてくれる彼女に甘え、俺は少しずつダメになってしまっていた。
唯一、彼女が苦手な料理を作って俺の仕事の帰りを待っていてくれたことがあった。
あんまし美味しくは無かったけれど、苦手なりに精一杯努力して作ってくれたことが深く感じ取れた。
それが何よりも嬉しかったよ。

たくさん傷付けてしまったけれど、あんなに楽しい夏を一緒に過ごせた事に心から感謝しています。








本当にありがとう。








そして彼女が誰か大切な人と幸せになってくれることを俺も願います。





2014年夏③完